小刃・マイクロベベルについて
ナイフのレビューを上げているYouTuberさんで「取り敢えず小刃を落としましょう」みたいな事を言っている人がいましたが止めましょう。
なんでそんな事を言うのか信じられません。今すぐインターネットを取り上げた方がいい。とまでは言いませんが初心者に勧めるべきことではありません。その判断すらつかないのか…?因みにその人の砥石は面が完全なUの字になってました。
小刃が付いている刃物は、基本的に小刃が付いている状態での使用を想定しています。設計の内の一部分というワケですね。
人間が刃物を使う様になって何千年か、その中で編み出されたワザです。
製造が楽になるからアレは付いてるんだ、という人もいます。ですがそれはメンテナンスも楽になるという事です。
小刃のメリットについて考えましょう。
・刃もちが良くなる。
・メンテナンスが楽。
デメリットは、
・比較した場合切れ味が劣る。
切れ味は重要ですが、基本的に刃もちの方が遥かに重要です。というか刃もちが良い方が、良く切れる刃物だなぁと思うはず…。
というか、しっかり刃が付いていれば、切れ味はさほど違いを感じないと思います。ですが刃もちは大きな違いが生まれてしまいます。
よく考えてみてください。そんなに硬いものは切らないであろう包丁。ナイフより遥かに切れ味が重要になる刃物ですが、ほぼ間違いなく小刃が付いています。
更にメンテナンス、研ぎですが特にこれが問題になります。
小刃だけ研いでいれば良かったのが刃全体を研ぐことになります。
両刃の場合、左右対称の筈です。刃全体を研いで左右対称にするのはかなり難しい。同じ回数研げば良い訳でもなく、同じ速さ、同じ角度で同じ力を加えて左右を研ぐのは…無理です。持ち手が変わるんですよ?そして修正は至難の業です。
小刃が付いていれば修正が楽ですし、そもそも多少非対称になったところで全体で非対称になるより問題にはなりません。
元々の刃の角度も変わってしまいます。
ナイフというのは当然ですが人間が設計しています。厚さ、幅、長さ、重さ、鋼材、そして刃の角度、こういう感じに、という設計思想が基本的にあります。(無いっぽいのもあります)
小刃を落とすということは、ここに干渉する事になります。
ナイフ設計を生業としてる人よりナイフの設計に自信ありますか?
ここがこうだったらな、というビジョンがあって、それに近くする為なら話は別です。大変結構な事だと思います。ナイフというのは元々、ある程度カスタマイズする事は想定されているので。
そしてその為の小刃でもあります。
それを無くしてナイフの設計から変える必要がある…
それってそもそもナイフ選びを間違えてませんか?